昆布のヴィンテージ風加工

収穫した昆布を長い期間寝かせておくと、熟成すると言われています。年単位で寝かせた昆布は香りが違うと、テレビ番組で紹介されていました。

弊社では長年にわたり「なが昆布」という昆布を蒸して干すことで「早煮昆布」として加工してきました。通常30分以上煮る昆布が、10分程度で柔らかくなるため、常備菜として・保存食としてご好評をいただいています。実は数年前から煮て食べる昆布だけではなくだし昆布も加熱する実験してきました。

熟成した昆布は、ノーマルの昆布に比べ「磯の香り」が少なくむしろ「香ばしい」香りがするといいます。呉市阿賀にある「くれ産業振興センター」の水産学の先生に相談したところ、昆布の中にはご存知のとおりたくさんのアミノ酸(うまみ成分)が含まれており、これが糖と反応すること、つまり「メイラード反応」(アミノカルボニル反応)によって香りが出て色が赤くなるのではないかと教えていただきました。この反応はある状況下で高温で加熱することで「糖」と「アミノ酸」の反応を早めることができ、様々な温度・時間・置き方・さらには圧力をかけて繰り返し実験を重ねてきました。

この方法を使うと、だしが出やすくなったり、だしをとった後に食べやすくなるのではないかと思い、業務用だけではなく家庭用のだしにも好ましい昆布になるのではと思います。この加工に合う昆布・合わない昆布などあり、製品として安定的に供給できるようになったのはつい最近のことです。

ノーマルとヴィンテージ風の比較

ノーマルとヴィンテージ風の比較

左がヴィンテージ風加工のもので、ノーマルの右よりも色が赤くなっているのがわかると思います。

現在は真昆布と日高昆布を「ヴィンテージ」風加工昆布として、広島市内の数件の料理屋さんで使用していただいています。一度に生産できる量が少なく、またこの製造工程と意味をよく理解し、昆布の性質自体にも精通して頂かないと使い方が難しいのではないかと思い、懇意にしている料理屋さんと本店店頭で直接お話できる状況でのみ販売をしています。

ノーマルのだし昆布と比較しました。

ノーマルのだし昆布と比較しました。

この昆布でだしをとると、ノーマルに比べ早くだしがとれます。その反面、柔らかくなるのが早くだしが濁りやすいです。(煮物や味噌汁には問題ない程度のにごりです。)またノーマルの昆布にくらべ、煮崩れたとしても臭みが出にくいため、どのような料理にでも対応できるのではと思っています。近いうちに使い方などをわかりやすくまとめ、一般の家庭でも使えるような小袋での販売を考えています。

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