できるだけ簡単に、一番おいしいだしを。
- 厚手の昆布はできるだけ一晩水に浸けてください。じっくりと旨みを引き出せます。
- 水に昆布を入れ、お湯の表面が揺れる程度の温度で20分間炊きます。
- 昆布を出して鰹節を加え、10分間炊きます。ときどきアクをすくってください。
- 分量は、お好みですが昆布・かつお節ともに水の1%から4%程度。まずは2%でお試しください。
現代の食生活に合っただしの取り方
昔から、だしの引き方は「沸騰する前に昆布を引き出し、かつお節を入れたらすぐに火を切って漉す」と言われてきました。でもそれは「上品な味の料亭での1番だし」の引き方。繊細な食材に合わせる料亭の「淡い上品なだし」の引き方なんです。このやり方ではまだまだ旨味成分が昆布とかつお節に沢山残っているので、板前さんは2番だし、3番だしとして、20分30分としっかり煮込んで旨味を残らず使い尽くします。
ほとんどの家庭では一度しかだしを引かずに昆布・かつお節を処分していると思います。それならば、一度でしっかりと出しを引き出さないともったいなくはないですか?当店では、一度で濃いだしを引いて、短い時間でも美味しいお料理に役立てていただければと思います。
そんなに長い時間炊いても良いの?
- いいんです!では、いままでのだしの引き方を参考に説明します。
- 「昆布は沸騰させてはいけない」「沸騰する前に引き出す」
- これは、澄んだだしを引くために、昆布が煮崩れるのを防ぐルール。オススメしている、お湯がぐらぐらと揺れて見える温度が約60度から70度で、昆布の旨味を引き出すのに最適な温度です。この状態で20分、時間が許すなら30分でも1時間でも煮出せば、昆布の旨味はしっかりと引き出せるでしょう。
- 「かつお節を入れたらすぐに火を切って漉す」
- これは、かつお節の香りと上品な旨味だけを抽出するためのルール。でも、かつお節の旨味はまだまだ残っています。2番だし、3番だしを取らないのなら、10分間かつお節の旨味をしっかり煮だしてください。もし温度が高すぎて香りが少なくなってしまった場合は、追いがつおをして香りを補ってください。最高のだしになります。
だし・昆布・かつお節の保存方法
だし | 使う分だけひくのが一番ですが、もし余った場合は密閉できる袋に入れて冷凍してください。 |
昆布 | 乾燥した状態であれば何年でも持ちます。台所の戸棚は以外に湿気が多いので、しっかり密閉してカビが来ないように保存してください。3年、5年経つと、昆布の繊維が柔らかくなり、だしがにごりやすくなったり煮しめにしたときに早く柔らかくなったりしますので、煮る時間を調節してください。 |
かつお節 | 通常は窒素充填した膨らんだ袋に入って販売されています。一度袋を開けると窒素は抜けてしまいますので、開封後はできるだけ空気を抜いてペッチャンコにし、しっかりと口を閉じて、冷凍庫で保存してください。 |
こんな時は
だしがにごる 昆布が溶ける |
繊維の柔らかい昆布や、採取から年数が経った昆布は、煮崩れしやすくなっています。お湯の中で昆布があまり動かない低温で煮だすか、煮る時間を短縮してください。 |
だしのにごりの原因は、じつはかなり様々です。羅臼昆布などどうしてもだしがにごる昆布があります。 | |
またどの昆布でも、採取時期によってにごりやすくなることがあります。これは、昆布の成長により、次の世代の胞子を出す時期になると、だしがにごりやすくなるためです。 | |
さらに、昆布だけのだしは澄んでいても、かつお節など昆布以外のだし材料と合わせた時に急ににごる場合もあります。これは抽出された旨味成分・ミネラル等が出会って結晶になったり、かつお節などの油脂成分が溶けこむからと言われています。 | |
いずれの場合も体に悪い成分はありません。旨味成分はしっかりと出ていますから、にごりを気にしないで料理にお使いください。 | |
昆布の香りが少ない 逆に昆布の香りがきつい |
煮だす温度や時間により、だしの香りが違います。しっかりと昆布の香りを出したければ高めの温度で長めに、逆に昆布の香りが邪魔であれば低めの温度で短めにだしを引いてみてください。 |
だしに色がつく | 昆布の種類によってはだしに色がつきます。代表的なのは羅臼昆布で、だしが黄色くなります。また、日高昆布にはだしが青く色づくときがあります。また、お料理の具材によっては昆布のヨウ素分により色が付く場合があります。いずれの場合も体に悪い成分ではありません。 |
かつお節の香りが少ない | 煮だす温度が高かったり、開封してから時間が立っていると、香りが揮発してしまったりします。旨味はしっかりとありますので、香りを追加する分の追いがつおをしてください。 |